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【人から好かれる笑いとは?】じゅげむ

人は唯一、笑うことができる動物。人は人を言葉で笑わせることができますが、言葉は使い方を間違えると人を傷つける凶器になることもあります。自分も周りにいる人たちも気持ちの良い笑いとはどんな笑いなのでしょうか。私は笑いには大きく2種類あるのではないかと考えています。一つは人を傷つける笑い、二つ目はみんなが気持ち良い思いになる笑い。何がどう違うのでしょうか。例えば、その場で水をこぼしてしまった人がいて、その失敗に対してなんと言うか、2種類の言葉を並べてみました。

①「もう、なんでこぼすの?君っていつもそうだよね。ダサいなぁ」
②「ダイナミックにこぼしたね!君は水こぼし大会があったら優勝だ!」

同じように声をかけましたが、この二つの違いは何でしょうか。
皆様は分かりますか?

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1,前半は「ザワッ」としたものが残る・後半は「フワッ」としたものが残る。
2,前半は「愛」がない・後半は「愛」がある
3,前半は「考えずに」言葉を発している・後半は「考えて」言葉を発している
4,前半はみんなの輪から除け者にされているように思う・後半は抱きしめられているように思う。
5,前半は言っている方だけが気持ちいい・後半は言った人も言われた方も周りも気持ちが良い。
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私はこのように考えました。この記事を読んでいただいている皆様で「こんなのもあるんじゃない?」というのがありましたら是非教えてください。この違いを感じられ、みんなが良い思いをする笑いの使い方を知っているだけで、コミュニケーションが円滑になり、生きやすい社会になっていくと言うのが私の考えです。実はこの「自分もみんなも良い思いをする笑い」のヒントが、落語にはふんだんに使われているのです。落語の「粗忽長屋」というお話をします。

東京浅草の雷門の下で行き倒れがあり、人だかりができています。身元がわからず、引き取り手もおらず困っている。そんな中そそっかしいキャラクター八五郎が行き倒れを見て、
「これは俺の友達の熊五郎だ!熊五郎死んでしまったのか…」
「友達なんだね。引き取ってくれる?」
「いや朝熊五郎と話したから、本人呼んでくる」
「行き倒れは昨日の夜からだよ?」
「これはどっからどう見ても熊五郎!本人が家にいるんだから本人を呼んでくる!」

八五郎から話を聞いた熊五郎も、自分は死んでしまったと信じ込み、行き倒れのもとにやって来るのですが…

これに対して周りの人達は何と言ったと思いますか。
「ありえない。あいつ頭がイカれてるな。」
と言う人がいれば、そうは言わないキャラクターもいます。
「おもしろいな。本当に連れてきたら面白い!ちょっと待ってみよう!」
と言います。
どっちの言い方が自分も言われた人も周りも良い思いになるでしょうか。
「ちょっと待ってみよう」と言った人は、本人を連れてきた姿を見て

「ほら言ったじゃん。本当に連れてきたでしょ?」

と言います。この言葉を言った人たちは自分の気持ちも含め、みんなが良い気持ちになる様子が浮かんできます。落語のキャラクター達の、失敗を笑いに包む粋な笑い。この素晴らしい笑い、落語の笑いの良さが伝わりますでしょうか。落語は笑いの使い方、物事の捉え方を学べる素晴らしい教材です。私は国民の皆様に芸人になって欲しくて笑い教育を行っているわけではありません。みんなが気持ちよくなる笑いの使い方を学んで欲しくて、「笑い教育」の事業を立ち上げ、普及のために動き続けています。私も動き続けますが、皆様一人ひとりがこのマインドを持っていたら社会はより良いものになります。意識を少し変えるだけで良いんです。あなたも落語のキャラクターに。