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【提言】たばてぃ

先日、ラクター主催の対談がありました。代々木上原駅近くのスタジオで収録が始まり、ライトが点灯すると、その光があまりにも強く、「暑い」と感じた直後には、意識が朦朧し気づいたら対談は終了していました。おかげで対談内容はすっかり飛んでしまっています。まさか自分がという思いがありました。後日、教え子が営む病院に行ってきました。強いライトの光で意識を失うようなことはお医者さん自身でもあるそうで、少しホッとしました。とはいえまだまだホッとできないほど、異常にホット(猛暑)です。健康あっての教育活動です。皆さまもどうぞご自愛ください。さて、以下は、標記の新聞に寄稿した原稿です。この原稿の中には、今の「いじめ」のとらえ方の風潮を取り上げ、課題点を指摘しています。私が、最もやりたいことは、「自殺・不登校・いじめを生まない温かい笑顔溢れる学校づくり」です。日程さえ合えば、全国どこでも参ります。お声掛けください。

<「提言」寄稿>
いじめ防止対策推進法から10年、法のメッセージを真摯に受け止め、笑顔溢れる学校づくりを大津市の中学生の自殺を契機に成立した「いじめ防止対策推進法」(平成25年6月)が10年目を迎えた。私が校長に就任した年でもある。着任校には不登校傾向の児童が多数いた。「子ども全員揃ってはじめて教育活動が始まる」という理念を掲げ、寄り添う教育で改善した。その後、「自殺・不登校・いじめのない、温かい笑顔溢れる学校づくり」と具体的理念を前面に打ち出した。いじめの対義語は「笑顔」だと語ってきた。同法とこの理念を基軸に学校経営を進めれば、いじめや不登校は解決できると考える。

いじめをなくす、「ゼロにする」と語ると、それはプレッシャーになると苦言を呈する人もいる。しかし、理念とは描く理想の学校像である。それを達成するために真摯に考え抜きアイデアを協議し合う。子どもたちが楽しいと感じ、笑顔になる教育活動を展開する。
例えば
・校長室の開放。
・発言の平等性と公平性に配慮した「意見をつなぐ学び合い授業」
・全員参加型の教育漫才大会
・異年齢集団(3~6年生)による総合的な学習
・野菜を育て地域マルシェで販売する経済教育。
・算数における自由進度学習(3~6年生)
・児童提案の教育活動の実施等
これら全ては、理念を具体化するためのものだ。だから、勤務校では、笑顔が増え、いじめや不登校がなく、起きたとしても解決し易い寛容な土壌ができた。令和4年度の全国の若者の自殺・不登校・いじめの件数は過去最多である。同法を基軸に教育活動が回っていないからだと思う。「いじめはどこでも起こり得る」というメッセージも危険性を孕んでいる「注意を払え」という真意が伝わっていない。現実は、「いじめは当たり前、仕方ない」「いじめはなくならない」という風潮がある。そう考える学校で果たしていじめが無くなるか。この風潮による最悪のケースは、当事者同士で解決させようと追い詰めた事案である。複数の加害者対一人の被害者との話し合い。その結果、被害者が絶望し、自殺に至った事例がなくならない。この点から、トラブルは民主主義を教えるよいきっかけになるという考えも危惧している。教えるというなら、そこに「大人」がいなければならない。相談することの価値を忘れてはならない。民主主義は、文化を創造する過程でこそ育まれる。

私はいじめの啓発を、始業式から始めてきた。「いじめの定義」を児童と教職員で確認し、さらにいじめ対応方針も共有する。保護者には4月の授業参観日に自ら伝えた。「苦痛と感じたらいじめ」、つまり、被害者を100%守り抜く。加害者も大事な児童である。ヒマワリのように太陽の光を浴びさせながら育てる。さまざまな取り組みによっていじめを無くすと、「件数が少ないのは隠ぺいの可能性がある」と語る人がいる。ある自治体では、いじめの報告数を点数化して、多ければ10点、少なければ0点と評価していた。なぜ、いじめが起きなかったのか。その対策を確認するのが教育委員会の役割ではないか。


10年にわたる校長職は、「自殺・不登校・いじめのない、温かい笑顔溢れる学校づくり」という理念を支えに歩んできた。教育関係者が、同法とこうした理念を基軸に予防教育を積み重ね、「笑顔溢れる」学校づくりに全力を傾けることが、亡くなった子どもたちへの献花になると信じたい。

<7月の主な活動>
☆ 越谷市立新方小学校 教育漫才大会 特別審査員 7月7日
☆ 文教大学 学校全体で行う教育相談 講演「自殺・不登校・いじめのない、温かい笑顔溢れる学校づくり」 7月12日
☆ラクター主催「笑いがある家庭は子どもが伸びる〜笑い教育の効用〜」オンライン対談7月21日
☆楽亭じゅげむ 「落語教室」参加 福生市 7月23日
☆神奈川県小田原市立小学校「いじめ対応・教育漫才研修」「意見をつなぐ学び合い」概論と演習 7月24日
☆アルバ・エデュ主催「話す力を育てるために必要なこと」オンライン講座 7月26日
☆共育の杜主催「笑いを学べばいじめは消える 子どもたちから『学校が楽しい』を引き出す体験学習」オンライン対談センナ―  7月29日

<取材>
日経ウーマンDUAL 掲載8月中旬 7月14日