【舞台】Ko
「どうもーー!!」…遡ること数分前9/10(日)13:20頃。
場所は福岡よしもとの劇場の舞台袖のこと。
劇場は違えどNSC時代に散々立ってきた舞台袖というのは
芸人にとっては舞台に上がるために避けても通れない場所。
決して客席からは見えない影の場所となっているのが舞台の袖である。
もちろん全ての芸人が向かっていくのは舞台の上であり、
そこはスポットライトの当たる場所。多くの芸人は
そこでたった数分輝くために日々弛まぬ努力をしている。
忙しい日もやる気の出ない日も、どうもお腹がゆるい日も
頭の中ではネタのことを考え、1人で変顔の練習を
しているのを道ゆく人に怪訝な目で見られたり。
相方との意見の相違で対立したり気まずくなったり、
スケジュールが合わずに全然ネタ合わせができない日もありながら、
それでも輝く舞台上の自分をイメージしながら稽古に勤しんでる。
僕がその努力の過程の中で、一番苦しいのが「舞台袖」である。それはまるで小学生の時の、注射の順番が段々と近づいてきて逃げ出したくなるような思い。
恥ずかしながら大人になってこんなにも
ビビっている自分がいるとは思わなかった。
今まで練習でできていたことが、なぜか舞台袖で
コソコソと練習しているとミスが出る。セリフが飛ぶ。
そして頭が真っ白になる。本番まであと1組なのに!
練習不足だと言われれば確かにそうだし、
経験不足・場数不足と言われればぐうの音も出ない。プロ達は数多もの修羅場を乗り越え日々劇場に立ち続けている。一方で僕は1年ぶりの舞台。天使と悪魔の声が聞こえてくる。
いや、日曜劇場ドラマ「VIVANT」を見た人にだけ伝わるようにいえば
乃木とfがやりあっている。
「ここまで来たんだろ、闘え!」vs「もうやだよ。ここから逃げ出したい」(涙目)
…そんな自分の中の葛藤にケリが着くはずもなく、
容赦なく出囃子と共に自分たちの出番。
清水の舞台から飛び降りるかのように(実際は舞台に上がるのだが)「どうもーー!!」と元気よく飛び出していく。
するとあら不思議。あれだけ緊張して頭が真っ白になって
ミスの多かった舞台袖での時間が嘘だったかのように、
スポットライトの下では楽しくイキイキと漫才をする自分がいる。
しかもノーミスでアタマもキレッキレ。
それなりに笑いも起き、あっという間に持ち時間の2分間が終わった。
楽しかった!やって良かった!また味わいたい。
「ありがとうございましたー!」までの時間が本当にあっという間に過ぎていった。あの舞台上から舞台袖に戻ってきた時の清々しさはどんな快感にも勝る。
芸人としてご無沙汰だった感情を色々と取り戻すことができた。舞台袖とは時に試練や苦しみを与え、時に優しく労ってくれるそんな場所かもしれない。今回もちゃんと労ってもらった。
「また来年!(M-1グランプリ1回戦敗退でっせ!)」ってね。
ってやかましわ!
どうもありがとうございましたー!