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落語ワークショップ@マナビノキ

ご縁をいただき、「NPO法人マナビノキ」様で一日かけて落語ワークショップを行いました。
落語を通して、子ども同士でたくさんの笑いが生まれ続けた時間でした。

<詳細> 
❀ 場所
マナビノキ (https://www.manabinoki.org/)
❀ 日時
7月2日(土) 9:30〜15:00
❀ 人数
子ども10名 大人8名
❀ 内容
落語の面白さに触れ、創作落語に挑戦し、人に笑ってもらうことの喜びを知る

今回はどんな笑いが生まれたものか、レポートしてまいります!
 

目次

マナビノ種を植える

マナビノキでは、学びの時間が始まる前に、今日はどんな学びの種を植え、どんな木にしていこうか目標を決めます。
目標を自分で決めていくところから、「自分たちで学ぼう!」という意欲につながるのが良く、理念もとっても素敵です。
私からは今回は、落語という「学びの種」を提供する日。
種はあっても、「水」や「肥料」が無いと大きくはなれません。
その「水」や「肥料」の役割は、落語の授業の中では「いいね!」という声掛けや「笑い声」です。
それらが今回どのように芽が出ていったのか、見ていきましょう!

芸名

ワークショップを始める前に、みんなに自分自身に落語家さんのような芸名を付けてもらいます。
自分に名前を付けるのは新鮮でいつも盛り上がり、楽しいです。
今回もみんなの芸名の由来が面白い!
自分の好きなものや、自分の特徴を表すものを名前に入れてもらって名前を付けます。
各々思いがあり、どうしてその名前にしたのかでコミュニケーションも取れるので、私の大好きな時間です。

❀ 犬亭 猫
犬派でもあり猫派であるので両方つけちゃえ!とこの名前に!

❀ すり切れ亭 ぽんぽこぴー
「寿限無寿限無五石の擦り切れ・・・ポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助」和尚さんからもらった子どもの名前の候補、お父さんは決め切れず全部名前を付けるという「寿限無」という落語のお話。名前の中で気に入った言葉を入れてみたそうで。お父さんは決められなかったのに、しっかり決められてえらい!(笑)

❀ 竹取亭 かぐや
かぐや姫のお話が大好き!可愛いお名前に!!

❀ 悪口亭 ワロタ
悪口を肯定しているのが良い!(笑) 名前を呼ぶのも楽しかったです!

❀ うっかり亭 ピンポン
家のインターホン「ピンポン」という音をうっかり聞き逃して出られなかったそうな。落語のキャラクターがここにもいましたね。

いいねの嵐

「いいね」を関西弁で「ええやん!」と言います。
私のワークショップでは、まずどんなことを表現しても「いいね」と肯定する雰囲気づくりをしてからスタート。
一人がエピソードトークをし、全員で「いいね」「ええやん!!」と大げさに認め合う時間にします。

「今日朝起きてね…」ええやん!健康的!(拍手👏)
「布団をたたんでね」ええやん!えらい!(拍手👏)
「ご飯を食べました」ええやん!朝ごはんちゃんと食べないとね!!(拍手👏)
 
何を言うにもオーバーなくらいに「ええやん!」と盛大な拍手。
表現したことに対して大きく認める姿勢を最初に作り、この後の自分の考えをアウトプットするのに抵抗を減らしていくことに繋げていきます。

「ちりとてちん」落語のお話を深める時間

落語には、おっちょこちょいなキャラクターが出てきますが、彼らが失敗を重ねながらもその姿を笑いにし、人生を楽しく生きていきます。ちりとてちんにもそのようなキャラクターが出てきます。
旦那さんをいつも褒める「きぃさん」、逆にいつも嫌味を言い、何でも知っていると知ったがぶりをする「たけ」という男。
旦那さんは「たけ」を懲らしめるために、腐った豆腐をアレンジし、「長崎名産 ちりとてちん」という珍味を作って、知ったかぶりをする「たけ」に食べさせます。
「たけ」は知っていると言ってしまった手前、この臭い腐ったものを食べないといけません。
知ったかぶりをするシーンや、もだえ苦しみながら食べる様子がとっても面白いお話。
お話を聞いた後、旦那さんになりきって腐った豆腐に思い思いのものを入れたり、たけになって食べてみたりと、子ども達も動きを付けたり表情を作ったりしながら、一緒に楽しみました。
落語にこのような形で触れ、面白さを感じてもらうことが私の、落語教育家のお仕事です。

絵にしてみる

自分が一番印象に残った場面を絵にしていきます。
豆腐がどんな形でどんな色をしているのか、旦那さんの意地悪を企んでいる顔や、ちりとてちんを苦しそうに食べている「たけ」の顔、それぞれが面白いと感じた部分、想像できたところを絵にしてみます。
落語は想像の中で楽しむ物語。
同じ言葉でもそれぞれ頭の中で描かれるものが違うのが、落語の面白いところですよね。

お昼ごはんもちりとてちん!?

お昼ごはんもみんなで楽しくいただきました。
今日のメニューは、落語にちなんだご飯をご用意いただきました。
お蕎麦と…なんと豆腐!!
「あれ…ちりとてちん!?」
嘘…!?腐ってないかな…??と声を上げる子ども達。
しかし、新鮮な美味しい豆腐だったので一安心。
 
落語の想像の世界で楽しんでいたので、実物がこうやって出てくるとより面白い!
一日かけて行えるワークショップだからこそできたことでした!

創作落語

お蕎麦とちりとてちんを食べて、午後からは落語創りに挑戦!
朝触れてきた落語のユニークなところを念頭に、みんなで同じ場面を想像して作っていきます。
まずは「桃太郎」のお話。
 
・川上から桃…ではなく何が流れてきたら面白いか
・犬と猿とキジではなく、何の動物が仲間になると面白いだろうか。
・きびだんごではなく何をあげようか…
 
くすぐりや落ちを、まずは自分で考えた後にグループでネタを一つにしてみます。
グループで創る時間、大盛り上がり!!
各チームとっても面白い落語が出来上がりました。
 
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猿と犬が仲間になった!他にも仲間がいるかな・・・
ん?新聞が貼ってある?
「この道を選ぶと、鬼ヶ島への近道がある。鬼は○○が苦手で…」
おお!これは良い記事(キジ)だ!
 
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鳥のキジと記事をかけた言葉遊びオチ。
歓声と笑いと拍手が同時に起きました。
子ども達の発想は柔軟で素晴らしいものです。
落語と子ども達の相性がいいのが、少しずつ理解いただけますでしょうか。

MVP落語

様々な落語を創っている中で自分でテーマを決めて落語を創りだした子がいました。
 
「怪獣のぬいぐるみがないよ〜」
「公園?」
「デパートかな?」
「旅行先?」
「どこにもない!怪獣のぬいぐるみは、せ『かいじゅう』(世界中)探しても見つからない」
 
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「怪獣」という言葉と「世界中」を見つけて落ちに持ってくることができました。
この日一日様々な落語に触れ、落ちの仕組みを知りました。
「こんなの作ったよ!じゅげむ見て!!」とだんだん創ったことに対して喜びを感じてきた子ども達。
自信を持ち始めていることがうかがえました。

発表できなかった子が発表できるように!

「落語を舞台でやってみたい人?」と聞き、個人指名をすると、「いや、やめておきます…」という子が最初の方はいました。しかし今日一日「笑いを創ってきた」体験を通して、「笑いが生まれる気持ちよさ」があったようで、最初は躊躇していた子も前に出て発表するようになりました。
最後は「お客さんが笑ってくれてうれしかった」という言葉がたくさん飛び交いました。
「いいね!」と認める言葉ももちろんのこと、「笑い声」で認めらることもあります。
これぞ私が創りたい世界!!
子ども達が成長した瞬間をまた見ることができました。
 
私もまた1つ大きくなれた時間でした。
12月にもリピートいただき嬉しい限りです!
学びの種をお渡しし、また共に成長の支えをしにまいります。