ブログ•コラムブログ&コラム記事をご紹介

Blog

落語をヒントに自分の魅力を笑いで伝える『笑換力授業』


 
落語のキャラクターはおっちょこちょい。
それでもその世界で排除されないのは、自分の弱みを笑いに換えて生きていく力があるから。そんな人が、愛され、応援される人になる。
 
私達も、失敗してもいい、ありのままでいい、換えるのは、自分らしさを笑いにする視点だけ
落語のキャラクターのように、気楽に生きて良いんだということを学べるのが、落語教育です。
 
アートフェスティバルでの内容を以下レポートとして残します。
  
【詳細】
◆場所:洗足学園中学高等学校
◆授業の枠:2021アートフェスティバル コンテンツの一つ
◆対象:中1~高2  1コマ10名×4で合計40名の生徒
◆時間:一回80分×4コマ
◆準備物:ワークシート 筆記用具
◆授業テーマ:自分らしさを笑いに換える
 
【授業内容】
①落語とは何かを知る
②落語の笑換力を知る
③日常を笑換する
④よくやってしまう癖などを紙に書き出し、ランダムシェア
⑤弱みを笑換する
⑥自身の考えた笑換を全体にシェア&その場で感想
⑦他者からの笑換を元に、自己笑介を考え、30秒で発表
⑧まとめ 
※笑いに換える力、を造語で「笑換力」とします。

自分の中にある強みと弱み。どちらも表裏一体ではあるが、自分の弱みを受け入れることは容易ではない。
落語のキャラクターをヒントに、弱みでさえも愛せるようにするのが今回の目標。
そこで、ウォーミングアップとして、落語の中で、笑いに換えているシーンの例を伝えた上で、日常を笑いに換えるレッスンを行い、自分の弱みを出していった。
段階を踏んで転換、笑換できるように。


 
【日常を笑いに換える】
落語の笑換を元に、日常生活に置き換える。
①「先生がボケた時に、否定ではなく、和む一言」
②「忘れ物をしてしまった時、その場が和む一言」
③シチュエーションを考える
グループでみんなで考え、頭を柔らかくする時間。
 
①今日は一日歴史の授業です!
◎運動場に土器の破片があったのはそういうことなのですね!
◎「歴史の授業なんだー!」一揆の練習をしていますね。
◎学校の歴史に残る一日になりますね。

②美術の時間、「秋らしいもの」を忘れた
◎小さい秋を見つけましたが小さ過ぎて見えなくなりました。
◎忘れていません!「食欲」を持って来ました。
◎家が南半球なので秋がありません
 
③シチュエーションを考える
◆数学の時間コンパスを忘れる
◎まぁそんな怒らず、丸く収めましょう
◎これを許してくれる先生の心はまるいですね。
◆書道の時間書道セットを忘れる
◎「先生は美しい〜」「何を言ってるの?」「硯をすれないので、ごまをすりました」
 
【弱みを笑いに換える】
弱みを出す、というのは、マイナスなので、「よくやってしまう癖」という伝えた方をする。
ミニカードに弱みを書き、シャッフルをしてカードを引く。誰のものかわからない状態で、その弱みをを笑換する。
一度ウォーミングアップでやり方を掴んでいるので、スムーズに笑換できていた。
自分がどのように考えたかを全員発表。
そんな癖あるの?や、そう笑換するの?と、笑いが起き続けた。
落語を聞いて笑うのではなく、その人らしさを聞いて楽しくて笑う。
笑いは承認
「いいね!」という言葉以上の承認がある。
該当者と、それを笑いに換えた方、両方が「面白い!」認められ、幸せな空間が流れた。

 
【自己笑介】
自己紹介、ならぬ自己「笑」介
先程みんなで笑換した言葉を参考に、自分らしさを全面に出せる自己笑介。弱みを強みに変え、自信たっぷりに話していると魅力的だ。そのコツを掴んでもらった。
 
◆心配性で荷物が多い
・笑換:荷物を持ってる時、毎度筋トレができる!
・自己笑介:私は心配性でいつも荷物が多く、通学中の時間も無駄にせず筋トレに励んでいます。今日の帰りも一緒に筋トレをしてくれる人、出口で待っています。
◆整理が苦手、ロッカーが汚い
・笑換:毎度教科書を探してあった時は嬉しい!宝探しの毎日!
・自己笑介毎回ロッカーを開けると雪崩が起きる〇〇です。私と一緒にロッカーの奥にたまった教科書を出すゲームをする仲間を募集中です。ゲームの商品はきれいなロッカーを見る達成感です。よろしくお願いいたします。

ここも笑いが起き続け、全員が魅力的だった
この人と話したい!と思わせる自己紹介は本質的。「自己笑介」はその本質を突けるもの。
顕著だったのが、どの子も前に出ることに抵抗が全くなかったこと
この時間までに、一度笑いを取っているから自信が付いているのだ。
そしてアイスブレイクから安心できるメンバー、空間を作ったからこそ、弱みを出すことへの抵抗を減らせたのかなと感じる。

【生徒の感想】
◆落語は入り辛いイメージがあったが、親しみを持てました。みんなの短所を別の視点から見たときに、自分では気付けない長所がたくさんあって、新しい発見になりました。
◆落語って古臭くてあまり良いイメージがなかったけれど、今日の授業を受けて、そのおもしろさ、自分をどう上手く魅せるかを学べ、笑ってばかりの楽しい時間のプレゼントをありがとうございました。
◆ウケ狙い、ではなく自然に見える笑いを作れるのがいいなと思いました。私も落語のキャラクターのように失敗や辛いことも笑いに換えて乗り越えていきます!
◆クラスが始まる時の自己紹介って、真面目で正直つまらないなと思っていたのですが、自分の弱みを強みにし、笑いに換える表現を学べました。是非使っていきたいです!
◆なんでもネガティブに考えてしまうのですが、笑いに換える力を学び、自分だけでなく周りも笑顔にする方法を知りました。
◆自分の欠点でさえ好きになれると思った。
 
【所感】
知識、品があり、自身の軸も強くしっかり持たれている生徒みなさん、誰しも持っている弱みを強みに変え、笑いを交えて「自己笑介」をすることができました。
学年が変わっても、社会に出ても使う自己紹介。この時間を楽しむだけでなく、「今後も使える!」「自分が好きになります!」と嬉しそうに生徒は帰って行きました
私達が「ここいいね!」と言って広げることもできますがそこを、生徒達同士で笑換し合い、自分らしさを自分たちで引き出せたことで、承認の回数が何倍にもなり、互いの距離も縮まりました
落語の力を使った授業、生徒の心に残っていく授業になったはずです。
このプログラムを、広く多くの人たちに行ってもらい、自分の弱さを強みに変え、自分の面白さに気付ける人であふれる社会を作ります。
今回洗足学園の生徒の皆さんに体験していただき、約40名の「個」に出会えたことを嬉しく思います。
他の課外授業等でお力になれることがあれば、引き続きよろしくお願いいたします。